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かつら湯

趣があり、懐かしい雰囲気と現代の方には新しさを感じる空間「銭湯」 熱々の湯船にいつもきている常連のおじいさんが鎮座し、だまってその熱々の湯船に浸かることも醍醐味の一つ。

温浴施設といわれる「スーパー銭湯」が各地に台頭し、利便性や浴室の広さや種類の多さに各種のサービスなど多様化に合わせた浴場づくりをする企業が増えた。

その利便性も魅力的ではあるが、銭湯が担ってきたのは体を温めるだけではなく、人の心を温めてきた「交流」がいつもそこにあったのでは無いかと感じる。

釧路市鳥取地区で長年愛されている銭湯「かつら湯」は、まさにその趣と情緒を今に伝え続ける銭湯のひとつだ。

「小さな頃から来てくれている常連のおじいさんや、育ってきた銭湯の空間を自分の代でも守り伝えていきたかった」

現店主の「中村琢磨」さんは、サラリーマンだったが父の後を継ぐことにした。銭湯という文化が下火になる中での決断ではあったが、自分で釜を整備する術も身につけ家族と共に今も憩いの場を守り続けている。

「ひやしあめ」など昔の良さを守りながら新しいサービスにも取り組んでいる。子供の頃に銭湯という空間で感じた、親子の温もりや見ず知らずのおじいさんに怒られながらも遊んだ記憶が蘇る、そんな懐かしい味わいが人気だ。

毎日欠かすことなく大切に整備しているという年季の入った機械。歴史を感じる佇まいが独特な空気感を漂わせているボイラールームは、親子の守り続けてきた気持ちを表しているようだ。

こじんまりとしたサウナルームは自分だけの空間。ただし、常連さんとの順番待ちと格闘をしなければならない。それもまた銭湯の楽しみのひとつと余裕を持って味わいたい。

綺麗に清掃された浴室はいまにも「熱々なお湯に水を入れさせてくれないおじいさん」が居そうな気持ちにさせられる。赤と黒のレバー式蛇口も不便だが暖かさを感じ、その下に懐かしく「ケロリン」の黄色い桶を置きたくなる。

「ノスタルジー」その言葉だけが先行することではないが、思い出は記憶に残りながらも振り返ることのできる「機会」があるかどうかで、その言葉の色合いを変えるだろう。

古き良き、不便だけれども心を温める場所「銭湯」

そこには本当の意味での「体も心も綺麗になる浴室」があるのかもしれない。

店   名かつら湯
住   所釧路市鳥取北5-5-11
営 業 時 間8:00〜21:00(平日)
5:00〜21:00(土・日曜・祝日)
定 休 日年中無休
T  E  L0154-51-5641

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